シンガポールの国鳥は Crimson Sunbird(キゴシタイヨウチョウ)。
そう紹介されることがあります。
しかし、これは公式ではありません。
それでも、この鳥が長年にわたり
「シンガポールの国鳥のような存在」として扱われてきたのには、
はっきりとした経緯と理由があります。
このコラムでは、
Crimson Sunbird(キゴシタイヨウチョウ) がどのように“非公式国鳥”と見なされるようになったのかを整理します。
■ 結論:公式な国鳥は存在しない
まず大前提です。
- シンガポール政府が
国鳥を公式に定めた事実はありません - 法令・政府文書・国家象徴としての指定もありません
したがって、Crimson Sunbird(キゴシタイヨウチョウ)は
法的・制度的な「国鳥」ではない
という点は、はっきり押さえておく必要があります。
■ それでも「国鳥」と呼ばれる理由はどこにあるのか
この背景にあるのが、
2002年に行われた Nature Society(Singapore)主催の投票です。
2002年の「国鳥アンケート」
- 実施年:2002年
- 主催:Nature Society (Singapore)
- 形式:一般参加型の投票(イベント内)
この投票で、
Crimson Sunbird(キゴシタイヨウチョウ)が最も多くの票を集めました。
■ 2002年投票の具体的な結果
投票結果は以下の通りでした。
- 総投票数:1,038票
- Crimson Sunbird:400票(最多)
- White-bellied Sea Eagle:236票
- Black-naped Oriole:200票
- Olive-backed Sunbird:157票
- Greater Racket-tailed Drongo:45票
この結果を受けて、
Crimson Sunbird は 「最も支持された“国を代表する鳥”」
という立ち位置を得ました。
■ 「2002年以降、非公式に国鳥扱いされてきた」という表現の意味
後年、The Straits Times は、
次のように説明しています。
Crimson Sunbird has been unofficially touted as Singapore’s national bird since 2002, when it topped a poll organised by Nature Society.
この一文が意味するのは、
- 2002年の投票が起点
- 以降、
- メディア
- 自然保護・教育分野
- 野鳥コミュニティ
の中で、
「非公式な国鳥」として言及され続けてきた
という事実です。
つまり、
「誰かが勝手に言い出した」のではなく、
社会的な合意が少しずつ積み重なった結果だと言えます。
■ なぜ Crimson Sunbird が選ばれたのか

投票で支持を集めた理由についても説明されています。
● シンガポールを象徴する小さく赤い鳥
- 体が小さい
- オスは鮮やかな赤色
- 都市部の公園や庭で普通に見られる
これらの特徴が、
「Little Red Dot(小さな赤い点)」と呼ばれるシンガポール
のイメージと重なった、という説明が残っています。
派手すぎず、
それでいて記憶に残る。
非常に“シンガポール的”な鳥だったわけです。
■ 2015年 Asian Bird Fair で再び注目される
2002年の投票から約13年後、
この話題が再び注目を集める出来事がありました。
6th Asian Bird Fair(2015年・シンガポール開催)
- 開催地:Singapore Botanic Gardens
- 国際的なバードイベント
- Nature Society(Singapore)が関与
このイベントに関連して、
Crimson Sunbird が「シンガポールの国鳥」として紹介されましたが、
それに対し新聞では、
- 「公式ではない」
- 「あくまで非公式な位置づけ」
という説明が改めてなされました。
この一連の流れが、
「公式ではないが、そう扱われてきた存在」
という現在の理解につながっています。
■ まとめ|制度ではなく、社会が選んだ象徴
整理すると、
- シンガポールに 公式な国鳥は存在しない
- しかし、
- 2002年の投票
- 長年のメディア・教育・自然分野での扱い
により、
- Crimson Sunbird(キゴシタイヨウチョウ) は非公式に「国鳥」と呼ばれる存在になった
これは、
法律ではなく、
人々の認識と経験の積み重ねによって生まれた象徴です。
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※ 本記事の写真はすべて筆者撮影です。


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